企業の買収
大手塾の買収が増加していて、「中小規模の塾は生き残れないのではないか」とまで言われることもある。同業者同士の買収(例えば、東進ハイスクールによる四谷大塚の買収)もあるが、それ以上に異業種の参入が新しい動きとして出てきている。特に通信教育最大手のベネッセは、この会社の販売する進研ゼミが補習教材であるため、既存塾業者とは段違いの資本力で塾を買収し、受験勉強時期の学生を取り込もうとしている。事実、ベネッセは2007年6月に東京個別指導学院を連結子会社化し、2007年12月3日には鉄緑会の買収を発表した。参考書や学習雑誌を販売する学研は、学校授業の予習復習を行う学研教室を持っているが、この生徒が受験勉強時期に退会するのを防ぐため、塾ビジネスに乗り出している。そして東進ハイスクールを経営するナガセなども注目されている。
塾のフランチャイズ化
塾のフランチャイズ化というものは過去には少なかったが、最近では独自のノウハウを提供し全国に拡大している。塾のフランチャイズは、経営者自身が指導する必要がないため誰でも塾を開くことができるが、生徒の指導は生徒の増減に応じ採用できるアルバイト講師まかせになる。一部の大手フランチャイズ塾本部は、加盟金やロイヤリティーを集める事を目的として、加盟者に大きな利益が出るよう見せかけて教室数を拡大するケースがあり、加盟者はほとんど利益が出ず多額の加盟金等の資金がなかなか回収できないことから裁判沙汰になるケースもある。
こうした小規模フランチャイズ塾が増える背景には少子化があげられる。一昔前の様に子供が多かった頃は各学年毎に数十人の生徒を集めることができたが、最近では少子化によりこれが難しくなった。そこで考え出されたのが、全学年・全科目を同時に行える個別指導や自習形式の塾である。この形式ならば集団の生徒を指導できる専門の講師の必要もなく、集めやすいアルバイト講師による指導ができる。講師が全てアルバイトであれば煩雑な労務管理を避けることができ、経営者が素人であっても人事上でも特に問題がないからである。ここ十数年来の不景気により脱サラなどのフランチャイズ希望者はいくらでもいるため、フランチャイザー側からは本部の経営リスクがほとんどなく一気に事業を拡大できるチャンスと捉えられている。
人数別
・集団授業の塾
・:1クラス概ね10人以上のクラス構成の塾。社員扱いの講師がハイレベルなクラスを担当し、アルバイト講師がそれ以外のほとんどのクラスを担当することが多い。社員とアルバイトの区別が明確でないので、習う側からは講師の質の判断が難しい。社員扱いの講師が多い塾は1クラスの人数が多くなり授業料も高額になる。集団授業塾でも全てアルバイト講師というところも多く、この場合は授業料が比較的安価である事が多い。
・:大手塾では、規模の拡大に伴い、主に下位クラスで講師の質が落ちている場合もあるという[2007年6月30日号 週刊東洋経済『激戦!塾ビジネス』]。
・自習形式の塾
・:クラスはなく広い部屋に異学年の小中学生を集め、様々な科目を自習形式で同時に学習する。解説の書いた専用のプリントと問題用紙をもらい自学自習する。採点者は採点に追われるので、ほとんど指導ができない。人数の多いところでは、アルバイト講師が巡回指導することもある。ほとんどがフランチャイズ形式で、公文式や学研教室がこれに当たる。
・少人数制授業の塾
・:1クラス概ね5名〜10名のクラス構成で個人経営の塾にこのタイプが多い。集団授業と違い個人指導もある程度できる。個人経営の塾の場合、授業料は比較的安価でキャリアのある講師も多いが、教育情報が少なく情報は学校頼りになることが多い。
・個別指導の塾
・:1人の講師が概ね1名〜4名の生徒を指導する。個人指導ができるが、講師はほぼ全員アルバイト。講師1人に対する生徒が少ない分、授業料が高額。時間単価で比較すると、集団授業の塾の3〜6倍となる。苦手科目のフォローとして補修程度に使うのが無難だという声もある。。
* ここで言う社員とは、塾を専業として働き社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)に加入した一般的な正社員を言う。アルバイト講師は、主に学生や主婦、他に仕事を持っている者や1年以内の短期契約又は短期契約の雇用期間自動更新などの契約社員を示す。社員とアルバイトの違いが明確でないため、1〜2年で講師が入れ替わる実質アルバイトのような就労実態であっても正社員(常勤講師)などと表現している塾も多い。
大手塾では、社員に登用される可能性があることを示唆しアルバイト講師として働かせ、数年後に塾側がその指導力を評価した一部の講師を社員として登用する場合がある。経営的な面から指導力のあるアルバイト講師であってもすぐに社員として登用されることは少なく、講師のほとんどがアルバイトで成り立っている。平均的な授業料の塾では教室管理者一人が社員で、その他がアルバイト講師ということになる。元塾生がこれらの講師に大学生アルバイト講師から始め、社員を目指し教室管理者となることもある。